学生が国民年金保険料を免除するには?

学生が国民年金保険料を免除するにはどうすればいい?

 

20歳になればすべての国民は国民年金の被保険者になります。職業は関係なく、無収入の学生でも、20歳以上になれば、国民年金の保険料を納付しなくてはならない事になっています。

 

国民年金の保険料は月額1万5250円(平成26年度)ですが、学生にとってこの保険料は負担が大きく、保険料の支払いが出来ない学生はどうすればよいかという事になりますが、国民年金には、学生向けの「学生納付特例制度」が利用できます。

 

 

≪目次≫

  1. 保険料免除・納付猶予制度とは
  2. 保険料免除制度とは
  3. 保険料納付猶予制度とは
  4. 免除・猶予制度のメリット
  5. 学生納付特例制度とは
  6. この制度が利用できるのは
  7. 学生納付特別制度を利用する時のメリット
  8. 申請方法
  9. 添付書類
  10. 納付特例を使わなかったら
  11. 保険料の追納は10年以内
  12. その他の追納方法
  13. まとめ

 

 

保険料免除・納付猶予制度とは

国民年金の被保険者は、毎月の保険料を納める義務がかりますが、災害などで被害を受けたり、失業などで収入が減少したり、著しく所得が少なくなる事があって、保険料を納めることが難しい場合もあります。

 

そのような場合は、未納のままにしないで、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをする事をおすすめします。保険料免除や納付猶予になった期間は、年金の受給資格期間(25年間)には算入されます。ただし、年金額の計算は、保険料免除額は保険料を納めた時に比べて2分の1(平成21年3月までの免除期間は3分の1)になります。

 

 

受給する年金額を増やすには、保険料免除や納付猶予になった保険料を後から納める(追納する)必要があります。

 

保険料免除制度とは

所得が少なく本人や世帯主、配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や、失業状態の場合など、国民年金保険料を納める事が困難な場合は、本人が申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。

 

免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の四種類があります。

 

全額免除 4分の3免除 半額免除 4分の1免除
単身世帯 57万円

(122万円)

93万円

(158万円)

141万円

(227万円)

189万円

(296万円)

2人世帯(夫婦) 92万円

(157万円)

142万円

(229万円)

195万円

(304万円)

247万円

(376万円)

4人世帯

(夫婦と16歳未満の子供2人)

162万円

(257万円)

230万円

(354万円)

282万円

(420万円)

335万円

(486万円)

()数字は収入

 

たとえば2人世帯の場合、所得が92万円以下なら全額免除、142万円以下なら4分の3免除という事になります。

 

 

保険料納付猶予制度とは

20歳から50歳未満の人で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合は、申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。※平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となります。

 

 

免除・猶予制度のメリット
  • 保険料を免除された期間は、老後年金を受け取る際に1/2(税金分)が受け取れます。
  • 保険料免除・納付猶予を受けた期間中に、ケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態に遭遇した場合でも障害年金や遺族年金を受け取ることができます。
  • 保険料の「免除」と「納付猶予は、以下の表のとおり、その期間が年金額に反映されるか否かで違いがあります。

 

老齢基礎年金

障害・遺族基礎年金

(受給資格期間への算入)

納付 受給資格への参入 年金額への反映
全額免除
一部納付

学生猶予

学生納付特例

×
未納 × × ×

 

ただし、この保険料免除・納付猶予制度は学生の利用できません。学生の場合は「学生納付特例制度」の利用する事になります。

 

学生納付特例制度とは

20歳以上になれば、学生であっても国民年金の保険料の支払いが義務づけられていますが、在学中は年金保険料の納付が猶予されるという制度で、本人の所得が一定以下の学生が対象になります。

 

保険料の納付が猶予されている機関の、

  1. 行基やけがで障害が残った時でも年金を受け取ることができます。
  2. 「年金を受け取るために必要な期間」に算入されます。

 

この特例制度は申請をして始めて適用されます。利用したい方は、自治体の窓口で手続きをしましょう

 

 

この制度が利用できるのは

下記の条件をすべて満たす場合は、学生納付特例を利用できます。

  1. 大学、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校のうちいずれかに在学している事(夜間定時制課程や通信課程も含まれる)
  2.  

  3. 本人の本年度の所得基準が一定額以下であること

    一定額とは、118万円+(扶養親族等の数+1)×38万円+社会保険料控除等以下の場合で、

     

    たとえば、扶養親族0人の学生の場合は、118万円+(0+1)×38万円=156万円となるので、所得が156万円以下であれば、学生納付特例が申請出来ます。

 

 

学生納付特別制度を利用する時のメリット
障害年金との関係

障害や死亡など、不慮の事態が生じた場合、その事故が発生した月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上ある場合や、その事故が発生した月の前々月までの1年間に保険料の未納がない場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されます。

 

学生納付特例制度の承認を受けていれば、保険料納付済期間と同じ扱いになるので、万が一のときにも安心です

 

老齢基礎年金との関係

老齢基礎年金を受け取るには、保険料の納付済期間等が原則25年以上必要ですが、学生納付特例制度の承認を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれることとなります。ただし、老齢基礎年金の受け取り額の計算対象となる期間には含まれません。(※満額の老齢基礎年金を受け取るためには、40年の保険料納付済期間が必要です。)

 

このため、将来、満額の老齢基礎年金を受け取るには、10年間のうちに保険料を追納することができます。※経済的に余裕が出来た時は、保険料を納付するほうがおトクです

 

 

申請方法
  • 申請書は、学生課へも設置していますが、市(区)役所や町村役場、年金事務所、日本年金機構のホームページから入手できます。
  •  

  • 提出先は、住民票を登録している市(区)役所または町村役場になります。
  •  

  • 申請後、日本年金機構から承認または却下通知書が送られてきますが、却下通知書が届いた際は、この制度が利用できません。
  •  

  • 申請により承認された場合、承認期間は4月~翌年3月の1年間になります。
  •  

  • 続けて学生納付特例制度をご利用する場合は、毎年度の申請が必要になります。
  •  

  • 平成26年4月から、申請時点の2年1カ月前の月分まで申請できるようになりました。
  •  

  • 承認期間は、年金を受け取るために必要な「受給資格期間」に算入されますが、年金額には反映しません。しかし、10年以内に、その期間の保険料を納めれば、年金額にも反映します。

 

保険料の納付が猶予されている期間は、

  1. 病気やけがで障害が残ったときも年金を受け取ることができます。
  2. 年金を受け取るために必要な「期間」 に算入されます。

 

 

添付書類

申請時に必要になる書類は、

  1. 国民年金手帳
  2. 在学期間がわかる在学証明書または学生証(裏面に有効期限、学年、入学年月日の記載がある場合は裏面も含む)在学証明書は原本の提出が必要ですが、学生証は写しでも構いません。
  3. 退職(失業)した方が申請を行うときは、退職(失業)したことを確認できる書類として、雇用保険受給者証や雇用保険被保険者離職票等の写しを添付する必要が有ります。

 

 

納付特例を使わなかったら

国民年金保険料を40年間納めていれば、将来年間78万100円(平成28年度価格)の年金を一生受け取ることができます。※国民年金保険料や年金額は、物価や実質賃金の状況により毎年見直されます。

 

しかし、学生納付特例を使って、未納のままにしておくと、1年間で約2万円、2年間なら約4万円減額されます。つまり、2年間放っておくと、4万円カットされた年金額(=約74万円)が一生続くことになります。

 

たとえば2年分の追納をしなかった場合、
36万円【2年分の追納額】÷【4万円】老後に増える年金額=9(年)
となり、9年以上生存すると考えた場合、追納した方が得になります。

 

将来どうなるかはわかりませんが、年金を受け取れるようになるのは65歳からなので、9年足して「74歳以上自分は長生きする」と思えば、追納したほうが老後は安心して暮らせます

 

保険料の追納は10年以内

学生納付特例期間については、10年以内なら保険料をさかのぼって納める、追納ができます。学生納付特例制度を利用すると、「受給資格期間」に算入されますが、年金額には反映しません。そこで、将来受け取る年金額を増額するために、追納することをおすすめします。

 

学生納付特例期間の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合は、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

 

平成28年度中に追納する場合の追納額(月額)は、

年度 追納額(月額 該当年度の保険料(月額)
平成27年度 15,590円 15,590円
平成26年度 15,250円 15,250円
平成25年度 15,100円 15,040円
平成24年度 15,130円 14,980円
平成23年度 15,280円 15,020円
平成22年度 15,490円 15,100円
平成21年度 15,230円 14,660円
平成20年度 15,140円 14,410円
平成19年度 15,030円 14,100円
平成18年度 15,000円 13,860円

 

保険料の追納には納付書が必要になるので、現在の住所地の年金事務所へ問い合わせをして納付書を受け取る必要が有りますが、納付書の発行は1月単位で発行してもらう事をおすすめします。年単位、または一括納付で発行してもらうと、そのお金を用意しなければならないので、負担が大きくなるので、注意が必要です。

 

 

その他の追納方法
学生納付特別制度を利用して、免除を受けた人が老齢基礎年金(相当額)を満額受け取る方法は、追納以外に2つの方法あります。

 

ひとつは、国民年金任意加入で追納できます。

現行法では、国民年金は60歳以後65歳未満の期間は任意加入することが出来ます。その時の国民年金保険料を納めれば学生時代に納付した国民年金保険料と同等に「納付済期間」として扱われます

 

たとえば、学生時代に3年間納付特別制度を利用した場合、60歳から63歳まで3年間の保険料を納めれば、満額の老齢基礎年金が受け取れます。

 

ふたつ目は、60歳以後の厚生年金加入する方法です。

現行法では、60歳以後の期間について、厚生年金の被保険者の場合、老齢基礎年金の給付額には反映されませんが、老齢基礎年金相当額が「経過的加算」として老齢厚生年金に反映されます。

 

つまり、学生時代に3年間免除を受けた場合、63歳まで厚生年金の適用事業所で働き続けていれば、満額の老齢基礎年金相当額を受け取ることができます。

 

現行法に基づいて考えた場合、追納以外にも老齢基礎年金(相当額)を満額受け取る方法あるので、絶対追納しておいた方がよいとは言い切れません。国民年金へ任意加入の場合は、保険料に利子相当分は加算されないので、追納よりも結果的に支払うお金が少なくなる可能性が有ります。

 

ただし、追納以外の老齢基礎年金の相当額を満額受け取るためのこれらの方法は、60歳になったときに働いているか、もしくは保険料を支払うだけの余裕があることが前提になります。

 

まとめ

国民年金は、支給開始が始まると、生きている間はずっと支給されます。民間の年金にも終身年金はありますが、保険料が高く、元を取るのに20年以上かかるため、あえて高額の保険料を選ぶ必要はないと思います。

 

それに対し、国民年金は保険料が安く設定されているので、元を取ろうと思えば10年程度で元が取れます

 

最近は平均寿命も延び、思いのほか長生きするという事もあります。このような事態になった時、先で不利にならない為に、追納しておく事は悪くない選択と言えます。


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